Natural Born Killers (1994) : ナチュラル・ボーン・キラーズ

永遠の愛を誓い、殺人を繰り返すカップルの逃避行を描いたヴァイオレンス映画の問題作。欧米各国で年齢制限公開や上映禁止となったことも話題を呼んだ。暴力そのものの描写は極めてあっさりとしており、殺人や暴力を娯楽として消費していく現代アメリカ社会、及びメディアに対する痛烈な諷刺に主題が置かれている。

監督:オリヴァー・ストーン、脚本:クエンティン・タランティーノ、リチャード・ルトウスキー、デイヴィッド・ヴェローズ、オリヴァー・ストーン
出演:ウディ・ハレルソン、ジュリエット・ルイス、ロバート・ダウニー・ジュニア、トム・サイズモア、トミー・リー・ジョーンズら。

Natural Born Killers (1994) : ナチュラル・ボーン・キラーズのあらすじ

片田舎の名もない町のハイウェイ沿いのレストラン。客もまばらな店に、ミッキー(ウディ・ハレルソン)とマロリー(ジュリエット・ルイス)の2人が立ち寄る。ジュークボックスに合わせて踊るマロリーを卑猥な仕種ではやし立てる地元の中年男たち。突如マロリーは彼らに襲いかかり、強烈なパンチを食わせ、ミッキーの銃が火を吹く。楽しむようにいあわせた者を惨殺した2人は、レジの金を掴むとただ1人だけ生かしておいた女に「ミッキーとマロリーがやったと言え」と告げる。

マロリーは幼い頃から父親(ロドニー・デンジャーフィールド)に性的虐待を受け、母親(エディ・マクラーグ)は黙って見ているだけだった。ある日、マロリーは肉屋の配達人だったミッキーと出会う。互いにひと目惚れした2人は父親の車を盗んで旅立つがあえなく捕まり、ミッキーは刑務所へ。強制労働の最中に竜巻に乗じて脱走したミッキーはマロリーの家へ向かい、2人で父親の頭を金魚鉢に沈め、母親をベッドに縛って火を放つ。やっと自由を手にした2人はルート666をひた走る。傷つけた手の平を合わせて血を分かち合い、永遠の愛を誓った。

道を教えてくれた警官を射殺したり、町で拾った女の子をモーテルの部屋に監禁してその前で行為に耽る2人は、いつしかマスコミによって英雄に崇められる。52人を殺した彼らに憧れる若者は後を絶たなかった。そんな彼らを、有名犯罪者を捕らえて名声を手に入れ、ベストセラーを書きたいと考える暴力刑事ジャック・スキャグネッティ(トム・サイズモア)と、2人をスターに仕立てて独占インタビューを行い、視聴率を上げようと画策するTV番組キャスターのウェイン・ゲール(ロバート・ダウニー・ジュニア)が追っていた。

道に迷ったミッキーとマロリーはインディアンの呪術師の老人の小屋に泊めてもらうが、悪夢にうなされたミッキーは誤って老人を撃ち殺す。初めて後悔した2人は逃げる時にガラガラ蛇に噛まれ、町のドラッグストアに駆け込むが、スキャグネッティら警察に包囲され、ついに逮捕される。2人が別々の独房に入れられた刑務所は、嗜虐的な所長ドワイト・マクラスキ-(トミー・リー・ジョーンズ)によって日夜、囚人たちへの虐待が行われていた。

2人の逮捕から1年後、所長と本人の許可によりゲイルによるミッキーのインタビューが監獄内からの独占生中継で行われることになった。「殺人こそが純粋な行為だ」とうそぶくミッキーは、メディアへの痛烈な批判を語る。一方、所内にいあわせたスキャグネッティはマロリーの独房を訪れ、彼女に性行為を強要する。TV中継は所内の娯楽室でも流れており、見ていた囚人たちの興奮が高まった末に暴動へと発展。ミッキーは隙を見て警備員の銃を奪うと、マロリーの元へ急ぎ、スキチャグネッティを殺す。再会した2人は、愛を確かめ合った。暴動で所内は大混乱となり、ミッキーとマロリーは殺戮を開始する。人質のはずのゲールもこれに加わった。脱出した2人は惨めに命乞いするゲールを殺し、いずこともなく消えた。

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