第37代合衆国大統領リチャード・ミルハウス・ニクソンの激動と波瀾に満ちた生涯を描いた大作。「7月4日に生まれて」「JFK」などに続き、光と影に彩られた現代アメリカ史を照射する作品に挑んだ監督はオリヴァー・ストーン。脚本は、スティーヴン・J・リヴェル。
出演:アンソニー・ホプキンス、ジェームズ・ウッズ、ジョアン・アレン、エド・ハリス、ボブ・ホスキンス、パワーズ・ブース、ポール・ソルビノ、メアリー・スティーンバージェン、E・G・マーシャルほか。
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Nixon (1995) : ニクソンのあらすじ
1972年6月17日、ワシントン・ウォーターゲート。民主党全米委員会が開かれているホテルの一室に忍び込んだ5人の男が逮捕された。大統領関係者が盗聴事件に係わっていたという、ウォーターゲート事件の幕開けであった。彼らの行動をチェックしていたホワイトハウス臨時顧問のハント(エド・ハリス)から連絡が入り、首席補佐官のハルデマン(ジェームズ・ウッズ)、法律顧問ディーン(デイヴィッド・ハイド・ピアース)、国内問題顧問アーリックマン(J・T・ウォルシュ)ら、ニクソン大統領(アンソニー・ホプキンス)の側近たちは色めきたった。捜査の手はハントや同僚のリディにまで及ぶ。リディは〈鉛管工グループ〉と呼ばれる組織に所属していた。それは米政府極秘情報漏洩を防止するために組織された秘密活動グループだった。ハルデマンらはホワイトハウスに内通者がいるのではないかと疑い、やがてハント自身がリークしたことを突き止めた。やがて、ニクソン政権がCIAとの関係を保つために行った、ビッグス湾事件(61年にケネディ政権がキューバ侵攻に失敗した事件)の隠蔽工作の一部始終をハントが握っており、その全貌が明らかになる恐れがあった。
ニクソンは13年1月9日、カリフォルニア州で雑貨商を営む貧しいアイルランド系の5人兄弟の次男として生まれた。50年に下院議員選に出馬、マッカーシーの非米活動委員会でタカ派として名を馳せる。やがてのちの法律顧問となるミッチェル(E・G・マーシャル)と補佐官になるキッシンジャー(ポール・ソルビノ)と知り合い、大富豪ジョーンズの後ろ楯も得た。
そして63年のジョン、68年のロバートのケネディ兄弟の暗殺を経て、68年に彼はついに大統領に就任。妻パトリシア(ジョアン・アレン)の心配をよそに、彼は己の信じる道を邁進し、図らずもいばらの道を進んだ。FBI長官フーヴァー(ボブ・ホスキンス)は、キューバのシンジケートと繋がりがあった。72年には念願だった中国との国交も回復させ、パリ平和会談を成功に導き、ヴェトナム戦争も集結させるが、直後にウォーターゲート事件が発覚。ニクソンは「なぜ俺だけが責められるんだ!」と叫ぶが、それは政界で泥まみれになった男の悲痛な叫び声だった。やがて74年に大統領を辞任。94年4月22日に死去した。